真紅の熱帯魚・チェリーバルブの飼育と繁殖!スネール対策にも大活躍

チェリーバルブとヤマトヌマエビ
Puntius titteya (Barp cirera/Cherry barb) / Bernat Arlandis

水槽の景観を台無しにするものといえばコケですが、アクアリウムでは他にも、見た目が悪いという理由で嫌われている(ちょっと可哀想な)ものたちがいます。その一例が、カワコザラガイに代表されるスネール(巻貝)や、プラナリアなどの小さくてちょっと気持ち悪い生き物です。

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これらの生き物は、水槽内の生き物や環境に対して害を及ぼすわけではありません。しかし、インテリアでもあるアクアリウムにとっては、綺麗な水景を保つことも重要であるため、出来る限り取り除きたいと思う人も多くいます。

そのような場合に活躍するのが、今回紹介する熱帯魚・チェリーバルブです。スネール・プラナリアの駆除役として働きに期待できるだけでなく、見た目に美しい魚でもあります。

チェリーバルブとは

和名・流通名 チェリーバルブ
学名 Puntius titteya
英名 Cherry Barb
分類 コイ目コイ科プンティウス属
原産地 スリランカ
飼い易さ ★★★★★
値段(1匹) 100円程度~
最大体長 5cm程度
寿命 3~5年程度
遊泳層 中層
生息環境 スリランカの南西部の湿潤地帯にある河川とその支流にのみ生息する。
適合する水質 水温:20~27℃
pH:6.0~8.0
特徴 スネールやプラナリアを食べるスネールイーターとしてアクアリウム水槽で活躍する。繁殖期のオスは真紅とも言える鮮やかな婚姻色を見せる。

チェリーバルブはコイ目コイ科プンティウス属の熱帯魚で、オスが名前の通り、さくらんぼのような赤桃色をしています。メスは赤というよりもどちらかといえば黄色に近い体色をしており、小型熱帯魚の中では雌雄の区別がしやすい魚です。コイの仲間であることから丈夫なため、飼育が容易で繁殖も楽しめます。鮮やかな見た目と比較的温和な性格を併せ持ち、初心者にやさしい熱帯魚と言えます。

形態

チェリーバルブの体長は約3~5cmほどで、成長するにつれてオスは赤く、メスは黄色みがかかったベージュのような色合いへと変化していきます。口先から目をまたいで尾びれの中央まで、体側にまっすぐ黒い筋状の模様があるのが特徴です。

成熟したオスは繁殖期になると、真紅とも言える濃い赤色の婚姻色に変化します。ここまで見事な赤色は多種多様な熱帯魚でも中々お目にかかれません。この雄の婚姻色が、チェリーバルブの最大の魅力ともいえます。

生態

チェリーバルブは比較的水質変化に強いことが知られており、初心者でもある程度安心して飼育できます。また、プンティウス属には「スマトラ」などの気性が荒めな魚もいますが、このチェリーバルブは比較的温和な性格の魚です。

コイの仲間にはよくある傾向ですが、雑食で食欲旺盛、つまり口に入るものは何でも食べてしまう傾向にあります。このチェリーバルブもその例に漏れず、四六時中水槽内の各所をつつき回しては餌を探しています。

温和で少し臆病な性格とも紹介しましたが、それは体格が小さいことによる部分もあり、自分より小さなエビや混泳させている熱帯魚の稚魚などに対してはわりと獰猛です。稚エビ・稚魚はかなりの確率で食べられてしまうため注意しましょう。

稚エビや稚魚の生存率を上げるためには、茂みを作る水草を水槽の後景部分に入れたり、小さい熱帯魚が避難できるウィローモスなどの水草を入れたりする方法がありますが、水槽の大きさによっては気休め程度の効果しか得られない場合もあります。

しかしながら、この食欲旺盛な面を活かし、アクアリウムの美観を損ねる生き物として嫌われがちな、カワコザラガイ等の小型スネールやプラナリアを駆除してくれる「スネールイーター」として利用されることもります。

チェリーバルブの品種

チェリーバルブには幾つかの改良品種が存在します。個人的には原種が一番美しいと思いますが、好みは人それぞれなので、お気に入りの品種がいればそちらを飼育するのも良いですね。

スーパーコメットチェリーバルブ

スーパーコメット チェリー・バルブは、ヒレの伸長した品種で、ロングフィンチェリー・バルブと呼ばれることもあります。観賞魚としてはよくある変異を固定したものです、チェリーバルブの場合、あまり流通量は多くありません。原種よりも少し優雅な雰囲気を醸し出しています。

アルビノ チェリーバルブ

アルビノ チェリーバルブは、その名の通り、色素細胞の異常によりメラニンが欠乏した色彩変異を固定して品種にしたものです。こちらも流通の多い熱帯魚ではよくある品種です。

アルビノ チェリーバルブ “ピュアレッド”

ピュアレッドと呼ばれるこちらの品種は、チェリーバルブの改良品種の中でも比較的最近になってから流通するようになったもので、通常のアルビノタイプよりも黄色色素が薄く、赤味が強く見える品種です。スーパーコメット チェリー・バルブと似た形態の、ロングフィンタイプも流通しています。

チェリーバルブの分布・生息地・生息環境

チェリーバルブはスリランカが原産の熱帯魚です。スリランカの中でも、セイロン島南西部にある湿潤地帯の、ケラニ川流域及びニルワラ川流域やその支流にのみ生息する、生息域の限られた魚でもあります。

ただ、丈夫な熱帯魚でかつ美しい赤色に発色することから、古くから観賞用として飼育・流通しており、東南アジアなどのファームでも大量に養殖されていたため、原産地での野生個体生息数はある程度確保されています。ICUNのレッドリストでも、1996年版で軽度懸念(Least Concern、LC)に分類されており、少しデータが古い点が気にかかりますが、恐らくすぐに絶滅したりする種類ではなさそうです。

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チェリーバルブの飼育方法

チェリーバルブは食欲旺盛な雑食魚であり、口に入るものであれば大体何でも食べてしまいます。そのため、餌は人工飼料、生き餌、冷凍エサなど種類を問いません。細かいことに気を使わずに飼育できる、初心者にも易しい熱帯魚と言えます。

基本的な飼い方

丈夫な種であることから特別注意しなければならないような事はありません。強いて言うならばやや臆病な性格の熱帯魚であるため、水草を入れて水槽内に茂みを作る事と落ち着きやすいでしょう。水草は後の繁殖時にも効果を発揮します。

チェリーバルブはコイの仲間(コイ科の魚)であり、常に餌を探して色々なものをつつくような傾向があります。そして、口に入ったものは食べてしまうので、混泳相手(タンクメイト)には注意が必要です。口に入ってしまうサイズの熱帯魚(エビや稚魚)はもちろん、ヒレをつつかれることで弱ってしまう、グッピーなどの熱帯魚と混泳させる場合には注意が必要です。

一方でチェリーバルブの貪欲に餌を求める性質は、水槽内の害虫・スネールなどの駆除にしばしば利用されます。駆除の効果が表れる前にタンクメイトとのトラブルが発生してしまわないよう、水槽内に水草の茂みを作るなどの工夫をしましょう。

水質

チェリーバルブは丈夫で、水質の変化にも強いことが知られています。pHについては、6.0~8.0程度が良いとされています。硬度についても幅広く対応する魚ではありますが、基本的には軟水の環境を好みます。

川砂などの砂利、またオブジェとしてサンゴなどを入れておくと、水が次第にアルカリ化してくるので注意が必要です。定期的な水替えをおすすめします。最適な水温については22~27℃となっているため、他の熱帯魚に比べて管理が楽でしょう。

水温は、20~27℃程度の、一般的な熱帯魚と同じ温度帯を好みます。メダカや金魚のように夏の暑さに耐性があるわけではないので、水槽用の冷却ファンを設置するなど、高水温への対策は必要です。冬場の低水温にもある程度耐えますが、どんなに水温が下がってしまっても15℃は切らないようにしましょう。

エサ

上にも書いたように、チェリーバルブは雑食で食欲旺盛な魚です。基本的には好き嫌いせず何でも食べるので、扱いやすい浮上性の人工飼料を与えておけば問題ありません。テトラミンなどが有名ですね。あまりないと思いますが、仮に餌食いが悪い場合には、アカムシやイトミミズなどの生き餌を与えてみましょう。

ただし、スネールやプラナリアを駆除させるために水槽に入れている場合には、餌の量には少し注意をはらう必要があります。コケ取り用の魚の場合もそうですが、嗜好性が高い人工飼料に楽にありつけることを覚えてしまうと、スネールやプラナリアを食べなくなってしまう場合もあるためです。

また、チェリーバルブは餌を与えていない時にも、底砂の間や水草の陰に挟まっている餌を探して食べたりしています。小型魚であり餌不足で飢えることは少ないため、水質の悪化を防ぐということも考慮して、少し控えめくらいの給餌量にしておくのもありだと思います。

混泳

チェリーバルブはプンティウス属の熱帯魚の中でも、温和で臆病な性格である事が知られています。多少他の魚を追いかけることもありますが、小型魚なのでそこまでおきなストレスを与える存在にはならないでしょう。むしろ、チェリーバルブが攻撃されないように、あまりにもサイズ差があったり攻撃性が強かったりする熱帯魚との混泳は控えましょう。

一方で、小さな稚エビや稚魚に対しては獰猛な面もあるため、繁殖を狙った水槽に入れるのは避けるべきです。やむを得ない場合は、水草やモスで茂みを作り、小さな生体が隠れられる場所を確保しましょう。

アクアリウム水槽での役割

アクアリウム水槽におけるチェリーバルブのもっとも重要な役割は、やはりスネールやプラナリアといった不快害虫の駆除です。カワコザラガイ等の小型スネールやプラナリアは、水槽内の環境に悪影響を及ぼすわけではありませんが、見た目的に受け付けない人も多く、景観を害してしまう可能性があります。これらの生き物の駆除役として、チェリーバルブはよく活躍してくれるでしょう。

婚姻色の出たオスのチェリー・バルブ
Cherry barb, Puntius titteya / Brian Gratwicke

また、オスの婚姻色は非常に鮮やかで、緑の多い水草水槽によく映えます。成熟に従って色が濃くなっていくのも、育てがいがあって楽しいポイントです。アクアリウム水槽では、緑の補色である赤色は非常に重要な役割を持ちます。チェリーバルブをうまく使えば、水景をより美しく見せられるはずです。

チェリーバルブの繁殖方法

水槽で複数匹を飼育しているうちに勝手に繁殖していることもありますが、チェリーバルブは上述のように小さな生き物はすぐに食べてしまうこともあり、狙って繁殖させない限りは、大量には殖えません。一方で、きちんと手間を掛けて準備すれば、繁殖自体は難しくない魚でもあります。初心者が熱帯魚を繁殖させるという楽しみを知るにはもってこいの種類といえますね。

産卵・採卵の方法

チェリーバルブは、コイ科の小型魚の多くがそうであるように、バラマキ型の産卵を行います。産卵された卵には粘着性があり、水草などに付着していることが多いです。

多数の稚魚を確保するためには、飼育水槽内ではなく、飼育水で満たした別の小型水槽(水量10~20リットル程度)に、1~2ペアを隔離して産卵させます。この時、水槽の底には、高床式にしたメッシュ状の板を鉢底ネットなどで作って敷いておきます。これは、親魚は潜り込めず、ばらまかれた卵だけが通り抜けて下に落ちる床を作ることで、産卵後の食卵を防ぐ仕組みです。または、モスの塊を水槽の底部に厚く敷き詰めるのも有効です。

産卵用の隔離水槽は、薄明かりのある場所に一晩置いておきます。翌朝、産卵が確認できたら親魚を元の飼育水槽に戻し、卵と隔離しましょう。

稚魚の育て方

産卵後、24~48時間程度で孵化が始まります。そこからさらに24時間ほど経ってから、稚魚は泳ぎ回るようになります。

泳ぎ始めてから2~3日は、稚魚が小さいためインフゾリアを与えるのがベストです。その後は、ブラインシュリンプ(アルテミア)などを与えながら、粉末タイプの餌が食べられるようになるのを待ち、徐々に人工飼料へ移行していくのが良いでしょう。

チェリーバルブの魅力・おすすめポイント

チェリーバルブの魅力は、大きく2つに分けられます。1つ目は、緑の多い水草水槽で、オスの濃赤の体色が美しい差し色となり、水景の完成度を高めてくれることです。婚姻色がでたチェリーバルブのオスほど鮮やかな熱帯魚はそうはいないので、水槽に赤色を足したいときには良い選択肢になります。

2つ目は、スネールやプラナリアなどの不快害虫を食べて駆除してくれることです。以下のページで紹介しているような、コケ取りをしてくれる生体と組み合わせることで、水槽の景観を見栄えの良い状態に保ってくれます。

水槽のコケ対策!オススメのコケ取り生体の種類と効果まとめ
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導入によって明確なメリットが得られ、飼育も簡単なチェリーバルブは、ハマれば非常に優秀な熱帯魚と言えます。スネールやプラナリアに困っている人は、ぜひとも導入してみましょう。

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