アクアリウム 爬虫類飼育 水槽用ろ過フィルター ろ過・水質管理

水槽用ろ過フィルターの選び方と外部・底面など種類別おすすめ製品

2013/08/02

熱帯魚・金魚や亀などの水棲生物を飼育するためには、綺麗な水を用意することが重要です。そのためには水換えはもちろん大切ですが、濾過フィルター(ろ過器・ろ過装置)を使用して水を浄化することもとても有効です。しかし「濾過フィルター」というと何だか難しそうだし、いろいろあって何を使えば良いか分からないという人も多いと思います。熱帯魚を買っている人ならまだしも、亀などの爬虫類やイモリなど両生類を飼育している人は特にそうですよね。

そこで今回は、アクアリウムや亀の飼育で使用する濾過フィルターを網羅し、その種類、特徴やメリット・デメリット、使用に適した水槽・適さない水槽などを紹介します。このページを読めば、用途に応じたおすすめのフィルターの種類が分かるはずなので、ぜひ活用してください。

なお、このページはアクアリウムにおけるろ過の概念を解説する連載「ろ過の原理・仕組みと利用方法」の第4回に該当します。

もちろん、このページだけを読んでもろ過フィルターの使い方は理解できますが、関連ページも併せて読んでもらえば、ろ過についてさらに深く理解することができます。ぜひ、これらのページも併せて読んでみてくださいね。

ろ過フィルターとは

ろ過フィルターとは、水槽内の水の汚れを浄化して生き物に害がないレベルまで綺麗にするための装置です。水槽内の水にはエサの食べ残しや生体の排泄物を原因とする、目に見えない汚れ(アンモニア・亜硝酸など)が存在します。これらを放っておくと熱帯魚は死んでしまうため、濾過を働かせることによって汚れを分解する必要があります。

アクアリウムにおける水槽内の有機物サイクル
生物濾過と硝化バクテリアの働きまとめ!アクアリウム水槽管理の基礎

アクアリウムや水生生物の飼育で非常に重要な「生物ろ過」について解説します。生物濾過とは、バクテリア(細菌)の働きにより、水中の有機物が腐って生じる有毒物質(アンモニア)を毒性の低い物質(硝酸塩)に分解することを指します。これより水換え頻度を減らすことが可能です。

水槽内の汚れと分解の仕組みについては、こちらのリンク先で解説しています。アクアリウムには必須の基礎知識なので、ぜひ読んでみて下さい。

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ろ材とは

後述する濾過の種類のうち、「生物濾過」を行うろ過フィルターの内部には、濾過バクテリアを住み着かせるために「ろ材」を入れて使用します。困ったことにこのろ材も、濾過フィルターと同じくらいいろいろな種類があってややこしいアクアリウム用品なんです。

エーハイムのリングろ材
水槽用ろ材まとめ!種類・選び方やろ過フィルターとの相性

ろ過フィルターを使用する上で欠かせないろ材について解説します。セラミックろ材、スポンジろ材、バイオボール、活性炭、ウールマットなど、物理ろ過・生物ろ過・吸着ろ過のそれぞれに適した濾材やメンテナンス方法を紹介しています。

ろ材については、連載「ろ過の原理・仕組みと利用方法」の第5回となるこちらの記事で、種類・特徴とおすすめの製品などを紹介しています。どのろ過フィルターを使用するか決まった後はろ材に悩むことになるはずなので、この記事の次にぜひ読んでみてくださいね。

ろ過フィルター選びのポイント①:濾過の種類

それではまず、ろ過フィルターを選ぶためのポイントをいくつか紹介していきます。1つ目は、濾過の種類についてです。

濾過には主に、大きなゴミを濾し取る物理濾過、汚れを吸着する物質を利用する化学濾過(吸着濾過)、バクテリアの働きによって水の汚れを分解する生物濾過という3つの種類があります。それぞれの詳細については以下のページで紹介しています。

アクアリウムにおけるろ過の仕組み
物理ろ過/化学ろ過/生物ろ過の効果まとめ!アクアリウムの基礎

アクアリウムで生き物を飼育する水を浄化するために利用されるろ過は、物理ろ過・化学ろ過(吸着ろ過)・生物ろ過の3つに大別されます。このページでは、それぞれのろ過の種類について、原理や特徴を解説します。ろ過について学び、熱帯魚やエビを上手く育ててあげましょう。

濾過の種類はろ過フィルター選びにも密接に関係するため、ここではリンク先ページの内容を簡単にまとめておきます。

物理濾過

物理濾過は、水槽の水をウールマットや粗目パッドのような目の粗い素材に通して、大きめのゴミを物理的に濾し取る濾過方法です。アンモニアなどの水の汚れが発生する前に、その原因を除去することを狙っています。

化学濾過(吸着濾過)

化学濾過は、ゼオライトや活性炭などの吸着ろ材を使用し、水中の汚れを吸着して取り除く濾過方法です。使用する吸着ろ材の種類によって、取り除ける汚れの種類が異なります。また、吸着ろ材は永久に使えるものではなく、一定量以上の汚れを吸着するとそれ以上の汚れを取り除くことはできないため、定期的な交換が必要です。

生物濾過

生物濾過は、「硝化バクテリア」と呼ばれる微生物の働きにより、水槽内の有毒物質である「アンモニア」を、毒性の低い「硝酸塩」に分解する濾過方法です。この濾過方法では、バクテリアの住処(ろ材)を用意してそこに十分な酸素を供給することで、アンモニアの分解を促します。

バクテリアは市販されている「ろ過バクテリアの素」のような商品を利用して水槽内に導入することもできますが、もともと空気中に存在している生き物でもあるため、「水の汚れ」「ろ材」「酸素」が揃っていれば時間の経過とともに自然発生します。

ろ過フィルター選びのポイント②:生物濾過方式の種類

また、生物濾過には「ウェットろ過」「ドライろ過」など濾過方式の違いもあります。こちらは以下のページで解説している内容です。

ウェット式?ドライ式?水槽維持のためのろ過方式とその特徴

アクアリウムの濾過方法として重要な生物ろ過の中でも、ウェット式、ドライ式、ウェット&ドライ式と呼ばれる分類について解説します。多くのろ過フィルターはウェット式ですが、ろ過能力面で勝るのはドライ式という説もあります。それぞれのメリット・デメリットをまとめます。

先ほど説明した濾過の種類に比べると重要度は一段落ちますが、知っておくと役に立つため簡単に種類を紹介します。

ウェットろ過

ろ材が常に水没しているろ過方式です。生物濾過を行う市販のろ過フィルターは大抵がこの濾過方式を採用しています。ろ過フィルターの構造を簡単にすることができ扱いやすい点が長所です。

ドライろ過

ドライろ過ではろ材が常に空気中に露出しており、ろ材に飼育水を掛け流すようにして濾過を行います。酸素を大量に消費できる分ろ過の効率が高く、水槽の大きさに対して生体の数が多い場合は、上手く使うと大きな効果を発揮します。作りが複雑になるため家庭用のアクアリウムではほぼ採用されません。

ウェット&ドライろ過

ウェットろ過とドライろ過を併用する濾過方式です。ウェット式の扱いやすさとドライ式の濾過能力を兼ね備えるため、好んで使うアクアリストもいます。少ないものの市販品も存在します。

ろ過フィルター選びのポイント③:流量・ポンプの選び方

ろ過フィルターは、使用する水槽のサイズに応じて購入するべき製品が変わります。例えば、「エーハイム クラッシクフィルター」という外部フィルターには、水槽のサイズに合わせて「2211」「2213」「2215」「2217」「2260」と多数のバリエーションが存在します。これは水槽のサイズに合わせて適切なものを購入できるという点では便利なのですが、初心者にとっては分かりにくい事この上ないです。

このような場合、ろ過フィルターは流量が最適になるように選びます。アクアリウムにおけるろ過フィルターの流量は、基本的に水槽全体の水が1時間に何回ろ過装置を通るか、つまり「濾過の回転数=流量 [L/h]÷水槽全体の水量 [L]」がどの程度になるか、という観点から決められます。

補足説明

ろ過フィルターの流量は、基本的に水槽全体の水が1時間に何回ろ過装置を通るか(濾過の回転数=流量 [L/h]÷水槽全体の水量 [L])によって決められる。

生物濾過を行うバクテリアの硝化能力から考えると、水量と濾材のバランスにもよりますが、1時間に1~2回転程度が適切とされています。しかしここまで流量が少ないと、水槽の中に水の流れがない「淀み」ができてたり、汚れた水がろ過フィルターに到達するまでに時間がかかりすぎたりするという問題が起こります。そこで一般的には、ろ過フィルターの流量は5~10回転程度、特に7回転あたりが目安とされています。

ほとんどのアクアリウム用ろ過フィルターや、ろ過フィルターを駆動させるためのポンプには、1時間あたりの流量が表示されています。従って、その表示を確認して回転数を計算し、購入するろ過フィルターを選びましょう。また、目安となる水槽のサイズも合わせて表示している製品も多いため、その情報も参考にしてください。表示を見ても正確な水槽のサイズがわからない場合は、以下のページを参考にしてください。

アクアリウム水槽(熱帯魚・金魚・水草)のおすすめと選び方

ネイチャーアクアリウムのような美しい水草水槽や、熱帯魚・亀・金魚等の飼育に必要な水槽を購入する時のポイントをまとめました。サイズ・設置場所・素材・デザイン・品質・メーカーなど多岐にわたる要点やおすすめの水槽を紹介します。

ろ過フィルターの種類

ろ過フィルターは主に以下の7種類に大別されます。リンクをクリックすると、それぞれのろ過フィルターを解説している部分まで自動でページをスクロールできます。

これらのろ過フィルターは種類ごとに、生物濾過・物理濾過等の「濾過の種類」や、ウェットろ過・ドライろ過等の「濾過方式の種類」について、どの方法を重視しているかが異なります。その結果、ろ過フィルターの種類によって「こんなタイプのアクアリウムにおすすめ」「こんなタイプのアクアリウムには不向き」という特徴が存在します。

このページでは、これらのフィルターそれぞれについてどの濾過の種類・濾過方式を採用しているかに触れつつ、フィルターとしての特徴を詳しく説明します。また、フィルターごとにどんなアクアリウムに向いていてどんなアクアリウムには不向きなのか、という点も紹介します。なお、アクアリウムの分類がよく分からない場合は、以下のページを参考にして下さい。

アクアリウムの種類まとめ-水草水槽からアロワナやビオトープまで

アクアリウムには実は様々な種類があります。ネイチャーアクアリウムのようなレイアウトに拘る水草水槽、アロワナなど大型魚の飼育水槽、淡水水槽や海水水槽、大型水槽、小型水槽など様々です。そんなアクアリウムの種類をまとめます。

外部式フィルター

外部式フィルターのレーダーチャート
外部式フィルターのスペック
濾過の種類 生物濾過メイン
ろ材によって化学濾過も可能
濾過方式 ウェットろ過
主な用途 水草水槽
安価性
濾過能力
水草育成適性
メンテナンス性
静音性
インテリア性

外部フィルターは密閉可能な濾材を入れるケース(濾過槽)を水槽と別に用意し、モーターを使って水槽と濾過槽の間で水を循環させるタイプのフィルターです。濾過槽から水槽へはモーターで水を送りますが、水槽から濾過槽へは重力による落下で水を送るので、濾過槽は水槽より下に設置されるものが多いです。エーハイムというメーカーの製品がかなりの支持を集めています。

濾過槽が密閉されていることが大きな特徴の一つで、水草育成に必要な二酸化炭素(CO2)を添加した場合に濾過槽で多少水が撹拌されても空気中に逃げていきません。そのためネイチャーアクアリウムのような水草の育成を重視する水槽ではほとんどの場合外部フィルターが使用されます。

また外部フィルターを使用する場合、フィルター本体は水槽台の内部に隠され水槽にはパイプ類が少し見えるだけになるので、水槽周辺にゴチャゴチャと機器類が設置されず、非常にスッキリして見栄えが良くなるという長所もあります。

これは照明など他の機器を設置するスペースが広くなるということでもあるので、機能的にも有利な点といえるでしょう。基本的には水槽のサイズに左右されず幅広い環境で使用することができます。

メリット

  • 密閉されているので作動音が小さく静音性が高い
  • 濾過槽で水が空気に触れないので水中の二酸化炭素が逃げない(水草育成に有利)
  • 水槽内には給排水パイプのみが残るので水槽のインテリア性が高まる。また上部の空間を照明を置くなど有効に使える(水草育成に有利)
  • 他のフィルターに比べ濾過槽が大きめなので濾過能力が高い
  • 使える濾材の自由度が高い
  • 交換パーツなどが豊富で長く使える

デメリット

  • 値段が高め
  • 濾過槽で水が空気に触れないので濾過槽が酸素不足になりやすく、濾過効率は高くない(濾過槽の大きさでカバーしている)
  • メンテナンスがやや面倒
  • 水槽以外に濾過槽の設置スペースが必要
  • プレフィルター等を使わなければフィルターが詰まりやすい

外部フィルターは水草水槽に最適

濾過槽が密閉されており水中の二酸化炭素が逃げにくい外部式フィルターは、水草水槽との相性がバツグンに良いです。水草水槽を作りたい場合は、外部フィルターが最有力候補となります。

また、水槽のまわりがごちゃごちゃせずインテリア性が高いため、水草水槽でなくても、30cm以上の水槽では最も多く採用されているフィルターではないでしょうか。色々なパーツが販売されていて拡張性が高いのも大きなメリットで、非常に使いやすいろ過フィルターです。

外部フィルターと相性の悪いアクアリウム

以下に示すようなタイプのアクアリウムでは、外部フィルターのメリットを活かせず、またデメリットが目立ってしまいます。こういった水槽環境では、外部フィルターの使用はおすすめしません。

大型生体水槽

大型肉食魚やカメのような排泄物の多い生体に対しては、フィルターが詰まりやすくなってしまいメンテナンス頻度が上がってしまうのであまり向きません。プレフィルターを使えば多少マシですが、プレフィルターのメンテナンスが必要となり結局面倒です。

小型水槽

外部フィルターの多くは30cmキューブ以上のサイズの水槽用に作られたもので、20cm以下などの小型水槽に適応する外部フィルターは少ないです。このような小型水槽向けの外部フィルターは割高でコストパフォーマンスが悪いですし、汎用性に欠けるのであまりオススメしません。かといって大きな水槽向けの外部フィルターを使用すると、水流が強くて水槽内が洗濯機状態になってしまいます。

小型水槽では外部フィルターの使用は諦め、外掛けフィルターや底面フィルターなど他の濾過フィルターを使用する方が良いです。

外部フィルターのおすすめはエーハイム製品

外部フィルターは多くのアクアリウムメーカーが多数の製品を販売しており、選択肢がかなり豊富です。その中でも特におすすめするのは、ドイツの老舗アクアリウムメーカー「エーハイム」の製品です。

外部フィルターといえばエーハイム!というほど人気が高く、交換パーツも多く流通しており入手性が良いです。エーハイム製品は非常に頑丈なことで知られ、特に「クラシックフィルター」というシリーズは構造が簡単で壊れにくく、長期間使えるため根強い人気があります。

外部フィルターの選び方詳細

水草水槽との相性抜群!外部フィルターの使い方・選び方とおすすめ製品

アクアリウム用ろ過フィルターの中でも水草レイアウト水槽との相性が良い外部フィルターを解説します。外部フィルターの長所・短所からダブルタップやストレーナ等の構成品、エーハイム・テトラといったメーカー別の特徴、おすすめ外部フィルター、選び方のポイントなどを紹介します。

外部フィルターについては、こちらの記事で使い方・メンテナンス方法やろ過の仕組み、外部フィルターを選ぶ際のポイントやおすすめ製品などの詳しい解説を行っています。外部フィルターを使いたいと思っている方はぜひあわせて読んでみてください。

エーハイム クラシックフィルター
エーハイムの外部式フィルターをスペック比較!用途別の選び方まとめ

アクアリウムで使用するろ過フィルターの中でも、水草水槽には外部フィルターが最適です。そして外部フィルターメーカーの中で、実績・信頼性・人気があるのはエーハイムです。クラシック、エコ・コンフォート、プロフェッショナル等、エーハイム製外部フィルターについて解説します。

また、外部フィルター中でも特に人気の高い「エーハイム」製の外部フィルターについては、こちらのページで特集しています。製品ごとの機能・特徴を網羅しているので、外部フィルターの購入を検討している人はぜひ参考にしてください。

上部式フィルター

上部式フィルターのレーダーチャート
上部式フィルターのスペック
濾過の種類 物理濾過
生物濾過
ろ材によって化学濾過も可能
濾過方式 ウェットろ過
ウェット&ドライろ過
主な用途 生体メインの水槽
安価性
濾過能力
水草育成適性
メンテナンス性
静音性
インテリア性

水槽上部に乗せて使うタイプのフィルターです。以前は最もポピュラーなフィルターだったようですが、近年のフレームレス水槽の人気に伴い使用率が低下しています(フレームレス水槽では使用できないため)。水槽からポンプで汲み上げた飼育水を水槽上部の濾過槽でろ過した後、水槽に戻す方法でろ過を行います。安価な水槽セットなどで付属フィルターとして付いてくることも多いです。

上部フィルターは水槽上部に設置するため、基本的に横幅は水槽と同じ大きさになります。そのため他のフィルターをよりも目立ち、お世辞にも見栄えが良いとはいえませんが、一方で濾過槽の容量が大きくなるため多くのろ材を使用でき、ろ過能力が高いというメリットにもつながっています。

近年主流の外部フィルターは濾過槽が密閉されているためどうしても酸素不足に陥りやすいですが、上部フィルターは非密閉のため酸素供給が多く濾材の収容量も大きいため、ろ過能力では上部フィルターに軍配が上がります。さらにメンテナンス性も高いことから、大型魚など水を汚しやすい生体の飼育や、熱帯魚の過密飼育では現在でも主流のフィルターです。

メリット

  • 濾過能力の割に値段が安い
  • 濾過能力も濾過効率も高く生体がメインの水槽に適する
  • 使える濾材の自由度が高い
  • ウールマットを用いることで物理濾過と生物濾過の両方を行える
  • 濾過槽内や水槽への戻しの際に良く空気を巻きこみ酸素を供給する
  • メンテナンスが楽

デメリット

  • 水槽上部を覆ってしまうのでやや邪魔。インテリア性も少し下がる。またフィルターの下が陰になるので水草の育成に不利
  • 水と空気が良く触れあうので水中の二酸化炭素を逃がしてしまいやすい(水草育成に不利)
  • 作動音や落水音がややうるさい
  • 給排水パイプの位置の変更が難しい
  • 変則的なサイズの水槽には大きさの合うフィルターがない場合がある

上部フィルターはろ過能力が必要な水槽向き

上部フィルターはろ過能力が高く掃除もしやすいことから、以下に示すような比較的高いろ過能力が求められるスタイルのアクアリウムと相性が良いです。

大型魚・亀など水を汚しやすい生体の水槽

濾過能力が高くメンテナンス性に優れる上部フィルターは、大型肉食魚や亀の飼育にはもってこいです。ろ過能力だけ見れば底面フィルターも良いのですが、大型魚、金魚、亀といった糞の多い生体を飼育すると底砂の掃除が大変になるという問題があります。メンテナンスまで考えると、やはり上部フィルターの方が適任と言えます。

ただし、亀の飼育に上部フィルターを利用する場合には、「低水位では利用できない」という上部フィルターの特徴が問題になってしまいます。この問題を解決するためには、上部フィルターを低水位で使用する方法を紹介しているページを参考にしてください。K-ki自身の亀の飼育経験に基づいて、上部フィルターを低水位で使用する方法を紹介しています。

生体メイン水槽

水槽の見た目をあまり気にせず生体の飼育をメインに考える場合にも適します。熱帯魚を過密飼育しいて世話が大変という場合も、メンテナンスの手間が減るので良いでしょう。金魚を飼育する場合にも良く使用される傾向にあります。

上部フィルターと相性の悪いアクアリウム

水槽の上に濾過槽を設置するという構造上、以下のようなアクアリウムとは相性が悪く、これらの水槽での使用はあまりおすすめしません。

水草水槽

濾過槽内や濾過槽から水槽へ水が戻されるときに空気とよく混ざり、水草育成に必要なCO2を逃してしまうので水草水槽には向きません。見栄えもあまりいいとはいえないので、インテリア性を重視する水草水槽にはやはり採用しづらいと思います。水草育成には外部フィルターの方がオススメです。

特殊なサイズの水槽

30cm以下の水槽や150cm以上の水槽の場合、適合するサイズの上部フィルターがおそらく存在しないので採用しづらいです。大型水槽では上部式フィルターを特注している方もいますが、こだわりのある方以外は別の濾過フィルターを使用するほうが手軽ですね。

音が気になる部屋の水槽

濾過槽から水槽へ水が落下するようにして戻されるので、どうしても音が大きくなります。設置方法を工夫すれば多少マシにはなりますが、やはり他のフィルターと比べると音は大きいです。寝室などに設置する場合はこの点にも気をつけて下さい。

おすすめの上部フィルターはGEX グランデシリーズ

上部フィルターはGEX、コトブキ、ニッソーなどの国内アクアリウムメーカーがそれぞれ製品を販売しています。この中からK-kiがおすすめするのは、GEXのグランデシリーズです。

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上部フィルターは昔からあるろ過フィルターで、各社の性能差はあまり大きくありません。そんな中、グランデシリーズの特徴的なところは、上部フィルターの追加パーツとして、ウェット&ドライろ過を可能にする後付の濾過槽が販売されていることです。また、最初からウェット&ドライろ過用の濾過槽が付属した「グランデカスタム」という製品もあります。

ちなみにK-kiはこのろ過フィルターを以前90cm水槽で使用していました。亀水槽に使用だったため低水位で使用できるよう改造しましたが、市販のホースや塩ビパイプと規格が揃えられていて、改造しやすかったところも好印象です。

底面式フィルター

底面フィルター(ボトムインフィルター)

底面式フィルターのレーダーチャート
底面式フィルターのスペック
濾過の種類 生物濾過
濾過方式 ウェットろ過
主な用途 生体メインの水槽
小型~中型水槽
ビーシュリンプ水槽
安価性
濾過能力
水草育成適性
メンテナンス性
静音性
インテリア性

水槽の底面に敷いて使うろ過フィルターです。底に敷いたフィルターの上に底砂(またはソイル)を敷き、エアポンプまたは水中モーターで水を循環させることで、底砂そのものをろ材として利用し、ろ過を行います。底砂に水を流れさせることが目的なので、底全面にフィルターを敷く必要はありません。フィルターの目詰まりを防ぐため網戸の網やウールでフィルターを覆ってから底砂を敷く人もいます。

底砂をろ材として使用するため、他のろ過フィルターと比べて圧倒的にろ材の量が多くなり、ろ過能力もかなり高いと言えます。一方で濾材が水槽の底に敷き詰めてあるような状態ですから、メンテナンス性が悪いという問題もあります。プロホース等の底砂掃除用のアクアリウム用品を使用した底砂の掃除を、他のフィルターを使用する場合よりもこまめに行う必要があります。

また、大体の場合は底面フィルターの使用に必要になるエアーポンプや水中ポンプは別売りなので気をつけましょう。

メリット

  • 値段が安い
  • 底砂全てが濾材となるため濾過能力が高い
  • 濾材が底砂なので濾材も安く済む
  • 外部・上部・外掛け式フィルターと連結するなど自由度の高い使い方ができる
  • 水槽上部が解放されるので水槽の管理がしやすい・見栄えがいい
  • 静音性がそこそこ高い
  • 他のフィルターに比べて水流を弱くしやすい
  • エアポンプを使って水を循環させる(=エアリフト式)場合、エアレーションの効果も期待できる

デメリット

  • 底砂が物理濾過を兼ねる(=底砂にゴミがたまる)ので定期的な底砂の掃除が必要
  • その掃除がけっこう面倒(メンテナンス性が悪い)
  • 底砂に水が良く流れるので、底砂に肥料を仕込んでもすぐに溶けだしてしまう(水草育成に不利)
  • 一度セッティングしてしまうと、底面式フィルターを使うのを止めたくなった場合は水槽をリセットするしかない

底面フィルターは小型~中型の生体メイン水槽で便利

底面フィルターはメンテナンス性に難があるため大型水槽ではあまり使いませんが、中型以下の水槽で生体をメインに飼育する水槽の場合は、安定感が高く非常位使いやすいろ過フィルターです。

エビ(シュリンプ)・稚魚水槽

安価なためショップの販売水槽で採用しているところも多いです。また安価さと水流の弱さから繁殖用・稚魚用の水槽にもよく使われます。私はあまり詳しくありませんが、ビーシュリンプなどのエビを飼っている方もよく使っているようです。メンテナンス性を考えると60cm以下の水槽に適していると言えます。

60cm以下の水槽

底面フィルター自体メンテナンス性が悪いため、もともと掃除が大変な大型水槽とは相性が悪いです。60cm程度の水槽までならプロホースなどを使っての掃除もそこまで苦ではありませんが、90cm以上だと結構大変でメンテナンスが面倒になりサボりがちです。

日常のメンテナンスがしやすいというのはアクアリウムのモチベーション維持にとても重要ですから、メンテナンス性まで考えて水槽サイズと使用するろ過装置を選ぶのが良いと思います。

金魚の飼育水槽

底面フィルターは金魚の飼育水槽との相性が良いです。金魚は装飾性が強く、水槽内に水草を植えてもすぐに食い散らかしてしまうため、飼育の際は水草を植えないのが基本です。そのため、底砂の掃除がしやすく、水草水槽などよりも底面フィルターを使いやすい環境になります。

また、金魚の見栄えを良くするために大磯砂を使うことが多いことも、底面フィルターとの相性を良くしています。金魚を飼育するのであれば、底面フィルターはろ過フィルターの有力な候補になるでしょう。

底面フィルターと相性の悪いアクアリウム

底砂内に通水するという構造と、そのために底砂が汚れやすいという特性から、以下のような水槽とは相性が悪く、これらの水槽での使用はあまりおすすめしません。

水草水槽

ろ過の仕組み上水草育成に重要な底床肥料と相性が悪く、底床内の肥料をどんどん流出させてしまうため水草を育てにくいです。またフィルターに水草の根が絡んで植え直しがしにくい等の問題もあり、基本的には水草水槽には向きません。

しかしウィローモス、アヌビアス、ミクロソリウムといった活着性の陰性水草を主体としたレイアウトなら、水草が要求する肥料も少なく底床に根を張ることもないので問題なく使用することができます。濾過能力の高さもあり、水質に敏感なビーシュリンプの飼育水槽では「底面フィルター+吸着系ソイル+流木+南米ウィローモス」という組み合わせが定番となっているなど、環境次第では緑の多い美しいレイアウト水槽を作ることもできます。

大型水槽

水槽サイズが大きくなるとメンテナンスの労力が半端じゃなくなるので大型水槽にも向きません。

底面フィルターのおすすめはコトブキ ボトムボックス

コトブキの底面フィルター「ボトムボックス」は、完全な箱型で底側の面も閉じられています。この構造は特許を取得しており、コトブキの底面フィルターの大きな特徴となっています。箱型になっていることで、底側から底面フィルターの内部に砂利が入り込むのを防ぎ、長期間にわたって底砂内の通水性を確保しやすいです。底砂内の通水性が確保されていれば、目詰まりが起こりろ過能力が低下するのを予防することができるメリットがあります。

K-kiが使用したことがあるのは、ボトムボックスの前身である「ボトムインフィルター」という底面フィルター(構造はボトムボックスとほぼ同じ)ですが、念の為フィルターを防虫ネットで覆ってから使用しました。2年くらい使ったはずですが、水槽を撤去する際も底面フィルター内部への砂利の入り込みはほとんどなく、十分な通水性が確保されていました。この経験からも、箱型の構造は通水性の確保に有効であると考えられるため、コトブキのボトムボックスをおすすめします。

底面フィルターの選び方詳細

底面フィルターについては以下の記事でも、使い方や底砂別の相性(ソイル・大磯砂など)、底面濾過の種類といった詳しい解説を行っています。

底面フィルター ボトムインフィルター コトブキ工芸
底面フィルターの使い方とおすすめ製品!ソイルや砂利との相性まとめ

底面フィルターと底面濾過について、仕組みや種類から使い方、ソイルや大磯砂など底床別の相性、掃除・メンテナンスの方法やおすすめ商品等を紹介します。安価で性能が高く、初心者から上級者まで幅広く愛好家がいるろ過フィルターです。

特に、底面フィルターは底砂=ろ材となるため、底砂の選び方が重要です。底面フィルターを使用するつもりの方はぜひ読んでみてください。

外掛け式フィルター

外掛けフィルター(プロフィットフィルター F3)

外掛け式フィルターのレーダーチャート
外掛け底面式フィルターのスペック
濾過の種類 化学濾過
濾過方式 ウェットろ過
主な用途 小型水槽
安価性
濾過能力
水草育成適性
メンテナンス性
静音性
インテリア性

水槽の縁に掛けて使用するタイプのフィルターで、手軽に使用することができます。市販品はほとんどの場合濾材に活性炭などの吸着性のものを使っており、定期的に交換するように指示しています。そのままの状態だと濾過バクテリアが定着しずらく、生物濾過が機能しにくいので、改造してリング濾材などを入れ生物濾過として使う方も多いです。

小型水草水槽立ち上げのために外掛け式フィルターを改造する
小型水槽におすすめ!外掛け式フィルター改造で濾過能力向上

小型水草水槽立ち上げシリーズ記事の第2回として、ろ過フィルターの選定と濾過能力向上について考えます。水槽のろ過フィルターとして外掛け式フィルターを選ぶ理由と、生物ろ過を可能にするための改造の具体的な手順を紹介します。

上の記事では外掛け式フィルターを生物濾過仕様に改造する方法を紹介しています。外掛け式フィルターを使用するのであればぜひ目を通しておいて欲しい記事です。

このフィルターは初心者向けの小型水槽セットなどに付属していることも多いのですが、上述のように生物濾過ができなくて濾過能力不足になったり、水槽サイズに対して水流が強すぎて熱帯魚を弱らせてしまうことがあったりと、実際のところあまり初心者向きの濾過器ではありません。水槽セットを購入したものの使いにくくて結局別のフィルターを買い直すなんてことにならないよう、購入時には注意して下さいね。

メリット

  • 値段が安い
  • 小型であまり場所をとらない、水槽上部も解放されて水槽の管理がしやすい
  • メンテナンスがしやすい
  • そこそこ静か

デメリット

  • 改造しなければ生物濾過としてほぼ機能しない
  • 改造しない場合濾材を定期的に交換しなければならないので維持費がかかる
  • 濾過槽が小さいので濾過能力も当然低い(改造しても濾過能力は低い)
  • 適応する水槽サイズに対して水流が強めのものがよくある

外掛けフィルターは小型水槽向け

水槽のフチに引っ掛けて使用するという構造上、水槽の強度を考えると外掛けフィルターはあまり大型にはできません。その結果として、ほとんどの製品がせいぜい幅45cm程度までの水槽を対象としているため、小型水槽向けのろ過フィルターと言えるでしょう。

小型水槽

45cm以下の小さめの水槽には、手軽さから結構よく使われていますし、適していると思います。上に書いたように改造を施してやれば、小型水槽なら濾過能力も何とかなる範囲内です。水草水槽にはあまり向かないという方もおられますが、私は外部式にはかなわないもののそこまで相性は悪くないと思います。

コストを抑えたい水槽

価格は大体1000円くらいとフィルターの中ではかなり安く、改造すればそこそこ使えるのでコストパフォーマンスには優れたフィルターです。水草や生体をストックすることが目的の水槽には役立ちます。

外掛けフィルターと相性の悪いアクアリウム

外掛けフィルターの良いところは、小さくて安価なため気軽に使えることです。一方で悪いところは、大きな水槽で使用するには性能が不足している点です。以下のようなアクアリウムに対しては、外掛けフィルターの弱点が目立ち使いにくくなるためおすすめしません。

60cm以上の水槽

60cm以上の水槽では、濾過能力の低さから基本的には使われません。一つの水槽に複数個外掛けフィルターを設置する人もいるようですが、手持ちのものを流用する以外ではそこまでするメリットはありません。素直に他のフィルターを使用したほうが便利です。

熱帯魚などが過密気味の水槽

小型水槽でも、熱帯魚など生体が過密な水槽では濾過能力不足になる恐れがあるので気をつけましょう。改造したとしても基本スペックの低い濾過フィルターであることには変わりないので、あまり過信しないようにして下さい。

外掛けフィルターのおすすめはテトラ製品

外掛けフィルターでは、テトラ製品の人気が高いです。具体的には、「テトラ オートワンタッチフィルター ATシリーズ」と「テトラ ワンタッチフィルター OTシリーズ」の2つのラインナップがあります。どちらも静音性が高く、設置場所を選びません。

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ATシリーズは水中モーターを採用しており、外掛けフィルターを駆動させるためのモーターが水槽内部に設置されます。これにより始動が簡単(呼び水が不要)となり、また静音性が特に高まります。一方OTシリーズは、外部式モーターを採用して水槽内をスッキリさせています。本体のカラーも透明で、できるだけ目立たないような工夫がなされています。

投げ込み式フィルター

投げ込み式フィルター(水作エイト)

投げ込み式フィルターのレーダーチャート
投げ込み式フィルターのスペック
濾過の種類 生物濾過
濾過方式 ウェットろ過
主な用途 小型水槽
安価性
濾過能力
水草育成適性
メンテナンス性
静音性
インテリア性

フィルター本体を水中に入れて使用するタイプのフィルターで、水中フィルターとも呼ばれます。エアーポンプにより水を循環させるタイプと水中ポンプにより水を循環させるタイプの2種類があります。水作というメーカーの水作エイトという製品がいろいろな意味でかなり愛されています(笑)。金魚を飼ったことのある方は、一度はこのタイプのろ過フィルターを使ったことがあるのではないでしょうか?

とにかく安くて手軽なのが強みのフィルターです。エアーポンプで駆動させ、大型水槽のエアレーションも兼ねたサブフィルターとして使われることが多いです。ただしエアーポンプで使用するとブクブクと音がうるさいです。

メリット

  • 値段が安い
  • 構造が単純
  • 稚魚などを吸い込みにくい
  • エアーポンプを使うタイプならばエアレーションを兼ねられる
  • 邪魔にならないので水槽の管理が楽

デメリット

  • 見栄えが悪い
  • 濾材容量が小さいので当然濾過能力も低い
  • 物理濾過能力が低くメンテナンスの頻度が高くなる

投げ込み式フィルターは低コストの水槽向け

投げ込みフィルターはろ過能力や見栄えの面では他のフィルターに劣りますが、その分コスト面で優位性があります。コストを抑えた水槽での使用や、低コストを活かし補助的なろ過フィルターとして使用するのがおすすめです。

小型・低コストの水槽

かなり小型の水槽ならばこのタイプのフィルターのみで維持できるかもしれません。ろ過フィルターの中では一番安いので、コストを抑えたいという場合にも使い道があります。少しでもろ過能力を上げるため、水中ポンプで使用するよりもエアーポンプで酸素を供給しながら使うと良いと思います。

サブフィルター

はっきり言ってメインで使用するのには不安があるフィルターなので、サブフィルターとして既存のフィルターの補助に使用することが多いです。エアレーションに気休め程度の濾過能力を期待してみたり、ろ過は諦めて水流を作ることを目的に使われたりします。

金魚が水作エイトで飼育できるのは、投げ込みフィルターのろ過能力が高いというよりも、金魚の生命力が強いという面が多分にあることは知っておきましょう。

投げ込み式フィルターと相性の悪いアクアリウム

基本的に上に紹介した場合以外にはあまり使うことは無いのではないかと思います…。特に、ばっちりレイアウトされた水槽に入れれば明らかに浮いてしまうのでやめた方が良いです。

投げ込み式フィルターのおすすめは水作エイト

投げ込み式フィルターを使用するなら、水作エイトシリーズの製品をおすすめします。誰でも一度は見たことがある、投げ込み式フィルターの代表的な製品です。

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投げ込み式フィルターにも様々な製品があり、もっと見た目がスッキリしたものなどもありますが、いずれにせよ水槽内で目立つことに変わりはないので、あまりデザイン面にこだわる意味はないでしょう。むしろ、水作エイトのように単純に水槽の中に突っ込んでおくだけでそれなりのろ過能力を発揮してくれる製品のほうが、手間がかからず簡単に使用でき、投げ込み式フィルターの便利さを活かせます。

スポンジフィルター

投げ込み式フィルターのレーダーチャート
スポンジフィルターのスペック
濾過の種類 物理濾過
生物濾過
濾過方式 ウェットろ過
主な用途 小型水槽
安価性
濾過能力
水草育成適性
メンテナンス性
静音性
インテリア性

エアリフトによりスポンジに飼育水を流れさせて濾過するタイプのフィルターです。パイプの先端にスポンジが付いているだけのいたってシンプルな構造となっています。スポンジに濾過バクテリアが繁殖することを狙った生物濾過主体のフィルターですが、スポンジの部分にゴミが集まってくるので(こまめな掃除が必要ですが)物理濾過にも役立ちます。

水を吸い込む部分がスポンジで覆われているため、熱帯魚の稚魚やエビを吸い込まないのでこういった生体の飼育には良く使用されます。他にはディスカスの飼育水槽でサブフィルターとして利用されることも多いようです。

安価なのが良い所ですが、水槽内でかなり目立つのと、スポンジにゴミが目詰りを起こしやすく頻繁なメンテナンスが必要になるのが問題点です。

メリット

  • 値段が安い
  • 構造が単純
  • エアーポンプによる酸素供給とスポンジの大きな表面積で濾過効率が高い
  • 目の大きなゴミを通さないので、他のフィルターの給水パイプなどに接続しプレフィルターとして使うこともできる
  • 給水口がスポンジで覆われているので稚魚やエビを吸い込まない

デメリット

  • スポンジにゴミが詰まりやすいので頻繁なメンテナンスが必要
  • 見栄えがよくない
  • スポンジの大きさに限界があるので大きな水槽に対応する濾過能力はない

スポンジフィルターは小さな生体と相性が良い

目の細かいスポンジで覆われたスポンジフィルターは、小型生体を吸い込まないためこれらの生体と相性が良いです。また濾過効率が高いため、小さな水槽で飼育できるが水質に敏感な生き物(ビーシュリンプなど)とも相性が良いと言えます。

稚魚水槽・エビ(シュリンプ)水槽

稚魚育成用の水槽に最適です。一つのエアーポンプで複数のスポンジフィルターを稼働させることも可能なので、大量の稚魚を維持できる点も良いです。ビーシュリンプなどのエビ飼育にも向いているようです。また外部式や上部式フィルターのプレフィルターなど、補助的な役割をもつサブフィルターとして活躍します。

プレフィルター

外部フィルターや上部フィルターで、水の吸い込み口にスポンジフィルターを設置すると、大きなゴミがフィルターの内部に入り込まずフィルターのメンテナンス頻度を下げることができます。このような使い方では「プレフィルター」と呼ばれます。特に外部フィルターの掃除は比較的面倒なので、スポンジフィルターをプレフィルターとして使えば結構楽になります。

スポンジフィルターと相性の悪いアクアリウム

目が詰まりやすくメンテナンスに多少の慣れが必要なところ、濾過効率は高いですが小さなろ過フィルターでありろ過能力としてはあまり高くないところがスポンジフィルターの弱点です。以下に示すような場合には、この弱点が目立ち使いにくい可能性があります。

中型以上の水槽

スポンジフィルターは基本的に小型水槽で使用され、それ以上のサイズの水槽では濾過能力不足になります。ただしメインではなくサブフィルターとして使用するのであれば、どんなサイズの水槽でも使用できます。

熱帯魚などが過密気味の水槽

熱帯魚などの生体を過密に飼育している水槽でも、やはりろ過能力不足になるためおすすめできません。また糞が多い生体を飼育していると目詰りが早くなるので、このような生体の飼育にもあまり適しません。

アクアリウムの初心者

水槽サイズに対してどれくらいのサイズのスポンジフィルターが適切かとか、メンテナンスのタイミングなどの見極めが難しく、初心者にはあまり向かないという側面があります。見極めを失敗すると水質が不安定になる可能性があるため、まずは単体で使用はなく他のフィルターのサブとして使ってみると良いでしょう。

スポンジフィルターのおすすめはテトラ製品

スポンジフィルターは他のろ過フィルターと比べると、製品の種類はあまり多くありません。メジャーなアクアリウムメーカーでスポンジフィルターを積極的に販売しているのは、テトラとスドーくらいです。特にテトラはスポンジフィルターの品揃えが豊富なので、スポンジフィルターを使用する場合はテトラ製品から選ぶ場合が多くなります。

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テトラのスポンジフィルターは、他のろ過フィルターと組み合わせプレフィルターとして使用する「Pシリーズ」、エアーポンプと接続して単独で稼働させる「ビリーフィルターシリーズ」、ビリーフィルターのスポンジ形状を工夫してさらにろ過能力を高めた「ブリラントフィルターシリーズ」の3つのラインナップがメインです。各シリーズに、スポンジが1本と2本の製品が用意されています。目的と使い方に応じて好きな製品を選びましょう。

オーバーフロー式ろ過システム

オーバーフロー式濾過のレーダーチャート
オーバーフロー式ろ過システムのスペック
濾過の種類 物理濾過
生物濾過
ろ材によって化学ろ過も可能
濾過方式 ウェットろ過
主な用途 中型~大型水槽
生体メインの水槽
安価性
濾過能力
水草育成適性
メンテナンス性
静音性
インテリア性
レッドシー REEFER 170 ブラック オーバーフロー水槽

濾過槽から飼育水槽に水を送り、あふれた水を濾過槽に戻しまた飼育水槽へ送る、というサイクルによってろ過を行うシステムのことを、オーバーフローと呼びます。水槽に設置するろ過装置ではなく、水槽そのものも含めたろ過システム全体を指すため、厳密にはフィルターとは言わないかもしれません。

水槽に穴を開けるなどの加工が必要で、他のろ過フィルターに比べると規模が大きく導入は大変です。一方、それに十分見合うだけの高いろ過能力を得られるろ過システムです。特に、大型水槽でよく採用されます。

とにかく規模が大きく導入コストも格段に高いですが、ろ過能力は非常に高くメンテナンスも楽です。大型魚の飼育ではよく利用されますし、海水魚飼育(マリンアクアリウム)では主流のろ過装置でもあります。水槽にあけた穴から水を濾過槽に落とすため、落水音が大きくCO2も逃げやすいのが短所です。

自作オーバーフロー濾過システム!60cm水槽改造して濾過槽を自作する
自作オーバーフロー濾過システム!60cm水槽改造濾過槽の自作

オーバーフロー濾過システムで必要になる濾過槽を自作する方法を紹介します。60cm規格水槽を塩ビ板で仕切った3層式濾過槽の作り方を濾過槽の仕組みや詳細な寸法、自作に必要な道具、画像・動画による手順の説明を交えて解説します。

コスト面については、濾過槽などを自分で作ってしまうことで、ある程度抑えることが可能です。もちろん機能性の高いものを作ろうとすると大変ですが、それでもその大変さに見合うだけの価値はきっとあるはずです。

メリット

  • 大きな濾過槽を使用することができるので濾過能力が高い
  • 大きな濾過槽を使用することで全体の水量が増え環境が安定する
  • 水が飼育水槽から濾過槽に落ちるときに空気を巻きこむので溶存酸素量が増加し、ろ過効率も高い
  • 飼育水槽にはあふれた水を濾過槽に送るパイプがあるだけなのでスペースを有効に使える
  • 濾過槽およびキャビネットにヒーターやクーラー、殺菌灯などの目立つものをスッキリ収納できる
  • 何か機材を増やしたくなっても濾過槽やキャビネットをいじるだけでよく、拡張性が高い
  • 日頃の管理はウールボックスのウールを交換するだけでよく、水換えも濾過槽でできるのでメンテナンスが楽

デメリット

  • 値段がかなり高い
  • 水量が多い=重量が大きいので、床の補強が必要になる場合がある
  • システムが大規模になって場所をとることになりやすい
  • 落水音が大きく静音性が低い
  • 飼育水槽から濾過槽に水が落下する際に、水中の二酸化炭素が逃げる(水草育成に不利)
  • 設置に多少の工作技術が必要

オーバーフロー水槽は大規模な水槽向き

オーバーフローろ過システムは、メンテナンス性を高くしつつ水量・ろ材容量を大きくし、システムを大規模化することでろ過能力・ろ過効率を高めるろ過装置です。そのため、以下のような水槽と相性が良いと言えます。

大型水槽・大型生体の飼育水槽

濾過能力が非常に高くメンテナンスもしやすいため、大型肉食魚や亀・水棲爬虫類など水を汚しやすい生き物の飼育に最適です。ある意味上部フィルターの上位互換的な存在とも言えます(お金がかかるという大きなデメリットがあります…)。私も以前、90cm水槽でニホンイシガメをオーバーフロー式の濾過を利用した水槽で飼育していました。

タグ90cm水槽

何度も書きますが、とにかくろ過能力が高いので、ある程度であれば熱帯魚が過密になった水槽でも維持可能です。アクアリストなら一度は憧れる、ろ過システムの最高峰と言えるかもしれません。

海水水槽(マリンアクアリウム)

海水水槽では要求される濾過能力が高いため、オーバーフローが採用される場合が多いです。また、スッキリした水槽を作りやすいので見栄えが良くインテリア性が高い水槽を作りたい場合にもお勧めです。

オーバーフローろ過は水草水槽や小型水槽とは相性が悪い

本水槽から濾過槽への落水時に水中の二酸化炭素が逃げてしまうため、オーバーフローろ過は水草水槽には向きません。小型水槽には不向きなわけではありませんが、システムが大規模で場所をとりお金もかかるので、スペースとコストを抑えたい人の多い小型水槽ユーザーはあまり採用していません。

オーバーフローろ過のおすすめ製品

オーバーフローろ過システムは、ろ過フィルターではなく水槽、ろ過槽やポンプなどを含めた水槽システムです。このすべてを一つのセットにして販売している商品はあまり多くありません。一般的なものは、コトブキ等が販売しているオーバーフロー水槽セットのように、穴の空いた水槽と配管用のパイプ類のみがセットになっています。

これ以外のポンプ、ろ過槽、ウールボックス、そして水槽台などは、自分で選び購入して組み合わせる必要があります。こういった点では、オーバーフローろ過の導入にはある程度の経験と知識が求められるとも言えるでしょう。

オーバーフロー水槽の配管(設計編)
自作オーバーフロー水槽配管(設計編)―ポンプやろ過槽の選び方

オーバーフロー水槽の配管設計及び関連するアクアリウム用品選定の方法を、自作中の60cmワイド水槽を例に解説します。ポンプ、ピストル管、ろ過槽(サンプ)やウールボックスの選び方・DIYする場合に考えるべきことをまとめます。

オーバーフロー水槽に使用するアクアリウム用品に迷う方は、ぜひともこちらのページを参考にしてください。K-kiが実際にオーバーフロー水槽を立ち上げるに当たり、使用するアクア用品を選定した流れをまとめています。オーバーフロー水槽関連の用品選びの参考になること間違いなしです。

その他のフィルター

今まで紹介したフィルター以外にも、主に海水水槽で使われ、物理濾過メインのプロテインスキマーや、熱帯魚・金魚などの糞を集めて掃除しやすくしてくれるフィッシュレット(濾過能力はないので厳密にはフィルターではないです)、硝酸塩を還元し窒素として空気中に逃がしてくれる還元濾過フィルターなどがあります。通常の淡水性の生物の飼育ではあまり必要ないと思われますが、一段階上の飼育を目指す方は調べてみるのもよいでしょう。

ろ過フィルター別評価のまとめ

最後にろ過フィルター別の評価を表にまとめています。項目ごとに点数が高いほうが高評価という意味です。なるべく客観的な評価をしたつもりではありますが、少なからず私個人の主観が入っているため、参考程度に考えて下さい。

水槽用ろ過フィルターの種類別評価
ろ過フィルターの種類 価格 濾過能力 水草育成適性 メンテナンス性 静音性 インテリア性 主な用途
外部式フィルター 2 3 5 3 5 4 水草水槽
上部式フィルター 3 4 3 4 2 2 生体メイン水槽
底面式フィルター 4 4 3 1 4 4 小型~中型の生体メイン水槽
外掛け式フィルター 4 2 4 4 4 3 小型水槽
投げ込み式フィルター 5 1 2 2 3 1 サブフィルター
スポンジフィルター 4 2 3 2 3 1 稚魚水槽
オーバーフローろ過システム 1 5 3 5 2 5 大型水槽

連載「ろ過の原理・仕組みと利用方法」をここまで読んできた人なら、ろ過についてかなり知識が増えてきたと思います。そして今回の記事で遂に、濾過フィルターについてもある程度理解できたことでしょう。濾過フィルターの概要がつかめたら、いよいよ水槽の立ち上げに挑戦してみましょう!

水槽の立ち上げ方・濾過の始め方-パイロットフィッシュは必要?

アクアリウムを始めるための水槽の立ち上げ方や濾過を働かせる方法を解説します。パイロットフィッシュ法とフィッシュレスサイクリング法を用いた水槽立ち上げの具体的な手順や、パイロットフィッシュにおすすめの熱帯魚等を紹介します。

この記事で、水槽の立ち上げ、特に濾過の立ち上げ方法を詳しく解説しています。水槽を立ち上げる前に、ぜひとも読んでおいて下さい。

アクアリウムの種類まとめ-水草水槽からアロワナやビオトープまで

アクアリウムには実は様々な種類があります。ネイチャーアクアリウムのようなレイアウトに拘る水草水槽、アロワナなど大型魚の飼育水槽、淡水水槽や海水水槽、大型水槽、小型水槽など様々です。そんなアクアリウムの種類をまとめます。

またこちらの記事を参考に、自分がどんな水槽を立ち上げたいのか、明確なイメージを持っておくことも重要ですよ!

K-ki

以上、濾過フィルターの種類と特徴・選び方についてまとめてみました。フィルターごとに一長一短があることがおわかりいただけたでしょうか?自分の作り上げたい環境に合わせて適切なフィルターを選んでくださいね! また、上で挙げたのはフィルターの種類ごとの大まかの特徴なので、商品によっては当てはまらないものもあるかもしれません。フィルターを購入する際はその商品の特徴なども加味してください!

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K-ki

K8ki・けーきはK-kiのシノニム。 AquaTurtlium(アクアタートリウム)を運営しています。 生き物とガジェットが好きなデジタル式自然派人間。でも専門は航空宇宙工学だったりします。 好きなことはとことん追求するタイプ。

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