• 最終更新日:2014/11/30 約8分

アクア&カメ水槽維持の基本!生物濾過とバクテリアの働き

カメ飼育にも使える,アクアリウムの濾過の種類まとめ

前回の記事(水槽維持の基本!濾過の種類と原理のまとめ!亀にも効果あり)を書いてからずいぶん時間が経ってしまいました
その3までも少し時間がかかるかもしれませんがご容赦ください
じっくり解説していきます^^;

前回は濾過の種類をざっくりと紹介しました
物理濾過・化学濾過・生物濾過の3つですね

そのうち生物濾過についてはより詳しい説明が必要だと考えたので,その生物濾過の仕組みについて今回の記事で説明します

スポンサーリンク

生物濾過とバクテリア

今回紹介する生物濾過には,バクテリア(=細菌)の働きが大きくかかわっています
そんなバクテリアに焦点を当てながら,生物濾過について説明していきます

水の汚れとは?

アクアリウムをしていたり(半)水棲カメを飼っていると,だんだん水が汚れてきますよね
その汚れは目に見えるようなゴミ,水面に浮かぶ油だけではなく,目には見えない汚れというものもあります
水槽という限られた空間の中で生き物を飼っていると,そういった目に見えない汚れが知らず知らずのうちに蓄積していき,生き物を死なせてしまう場合もあります
なのでアクアリウムではそういった目に見えない汚れを取り除く必要があります
その役割を担うのが“濾過”なのです

ではその“目に見えない汚れ”とは何のでしょうか?

例えば,餌を与えてそれが全て食べられるのではなく,一部が残って砂利の間や流木の陰などの気付かれない場所に隠れこんでしまったとします
そういった残餌は次第に腐っていき,水を汚すことになります
他にも水草の枯葉など,有機物は基本的に水槽の中で腐っていきます

これら有機物が“腐る”ということは,バクテリアの働きによってアンモニア等に分解されるということです
このアンモニアは生き物(魚やエビなど)にとって有毒で,“目に見えない水の汚れ”の正体なんです

また,水槽中の生き物は餌を食べ,有機物やアンモニアといった形で排泄します
こういった排泄物も同様に水の汚れとなります

好気性バクテリア

水の汚れが成体の排泄物や有機物が分解されたアンモニアだということは説明しました
ではどうやってこのアンモニアを水槽内から除去すればいいのでしょうか

ここでバクテリアの力を借りることになります

従属栄養細菌

まず水槽内の有機物(タンパク質)をアンモニアに分解するバクテリアが必要となります
それが従属栄養細菌です
従属栄養細菌は生育に必要な炭素を得るために有機化合物を利用し,アンモニアを生産します
有機物のあるところに出現し,ものすごいスピードで増殖します

独立栄養細菌(ニトロソモナス)

アンモニアを分解し,亜硝酸塩を生成するバクテリアです
アンモニアは生体にとって有毒だという話はしましたが,ニトロソモナスによって生成される亜硝酸塩もまた生物にとって有毒です
淡水魚はこの亜硝酸塩に対して強い耐性をもっているようですが,やはり毒性があることの代わりはなく,更なる分解が必要になります

独立栄養細菌(ニトロスピラ)

亜硝酸塩を分解し,硝酸塩を生成するバクテリアです
ここで生成される硝酸塩は,生体にとって無害とはいえないものの,アンモニアや亜硝酸塩と比べるとその毒性は非常に低いです
また毒性だけでなく,硝酸塩は水中で酸性を示すので濃度が高くなると水質が酸性に偏っていきます
一般的な濾過ではアンモニアをこの硝酸塩まで分解し(この働きを行うニトロソモナスやニトロスピラをまとめて硝化バクテリアと呼びます),その後水換えによって硝酸塩を水槽外に排出することで水質を保ちます
結局水質を維持するためには水を変えなくてはならないのですが,濾過がない場合に比べてその頻度を下げることができます

水質の維持には,今まで紹介したようなバクテリアがバランスよく水槽内に生息していることが必要となるわけです
具体的な濾過の立ち上げ方はまた別記事で紹介する予定です

嫌気性バクテリア

これまでに紹介した好気性バクテリアと適度な水換えで水質の維持は可能です
しかしさらに発展して,水換えもせずに水質を維持することは可能なのでしょうか?

答えは“理論上は可能”とでもいいましょうか
そもそも自然界では水換えなんてないわけで,どこかで硝酸塩も分解され完全に無害な物質にされなければいつか魚やエビは絶滅してしまいますね
その硝酸塩を無害な物質(窒素)に分解するのがこの嫌気性バクテリアの仕事です
しかし,この嫌気性バクテリアを水質浄化に役立てるには次のような難点があります

嫌気領域の確保

今まで“好気性バクテリア”とか“嫌気性バクテリア”という言葉を使ってきましたが,その意味をここで確認しておきます
“好気性バクテリア”というのは,生きていく上で酸素を必要とするバクテリアのことで,“嫌気性バクテリア”というのはその逆,酸素を必要としないバクテリアのことです

硝酸塩を窒素に分解する(還元濾過や脱窒と呼ばれます)ような嫌気性バクテリアは,酸素のあるところでは還元を行ってくれません
そのため酸素のない“嫌気領域”を作らなくてはならないのですが,硝化バクテリアや魚などが生きていくため水槽内の水には十分に酸素が含まれていなければなりません
この相反する2つの条件を満たす環境を作るのが一つの難点です

他の嫌気性バクテリアの排除

嫌気性バクテリアは還元濾過に貢献するものだけでなく,有毒な硫化水素を作り出すようなものもいます
そのような有害なバクテリアの繁殖を抑えながら還元バクテリアの繁殖を促進させるのはなかなか難しいと思います

還元濾過の途中生成物

還元濾過は硝酸塩を窒素に分解すると説明しましたが,その過程は正確には

硝酸塩 ⇒ 亜硝酸塩 ⇒ 窒素

となっています

一度毒性の強い亜硝酸塩を経由してから窒素に分解されるのです
すると仮に還元濾過がうまくいっていたとしても,何かの拍子で問題が生じたときに水槽内の亜硝酸塩濃度が上昇してしまう恐れがあります
水質維持のためにやっていることが水質悪化につながってしまうこともあるんです

以上の問題点を考えると,還元濾過を取り入れるということはリスクも伴い,一概にお勧めできることではありません
しかし,労力の削減や自然環境の再現という観点からも非常に魅力的な方法ではあります
この還元濾過を扱うフィルターとして,海水館というところから“還元濾過ボックス”という商品が発売されています
興味のある方は調べてみてください

有機物サイクル

今まで説明してきたことのまとめとして,水槽内の有機物の流れを図にしてみました

アクアリウムにおける水槽内の有機物サイクル

この図でポイントとなる点をいくつか説明します

分解者としての小型生体

図中で大型生体の排泄物が小型生体の餌となっていますね
小型の生体が全て大型の成体の排泄物を餌として食べるわけではありませんが,ドジョウやヌマエビ類などはこのような“水槽内の掃除屋”としての役割も果たしてくれます
こういった成体のおかげでアンモニアが生成される量が減り,水質の維持へとつながるのです
つまり,水槽内に豊かな生態系を作ることは水質の維持につながるということです
もちろん成体の数を増やしすぎては結局水の汚れが増えてしまい意味がありません
あくまで大切なのは“バランス”です

リン酸

残餌からはアンモニアだけでなくリン酸も生成されます
リン酸は水草の栄養やコケの原因となる物質で,水草水槽の場合は飼育水にある程度の量が含まれていなければなりませんが,やはり多すぎると生体に有害となります
このリン酸塩を取り除く方法は,換水または大量の水草に栄養分として吸収させるといったものがあります
硝酸塩ほど意識される存在ではありませんが,こういった物質もあるので還元濾過を行ったとしてもたまには換水すべきだと思われます

硝酸塩と水草

リン酸と同じように,硝酸塩からも水草に向かって矢印が出ています
お察しの通り,水草は硝酸塩も栄養分として吸収してくれます
じゃあ水草を植えれば水換えしなくてもいいじゃん!と思うかもしれません
確かにそれは半分くらいは正解です
ただ,水草の吸収する硝酸塩の量はとても少なく,本格的な水草水槽のように,生体の量に対して水草の量が非常に多いような環境でないと硝酸塩の吸収量が生成量に追いつきません
逆に言えばそういった環境では,水草の成長に必要な硝酸塩が不足するので,意図的に硝酸塩を肥料として添加する場合もあります

まとめ

なかなかの長文となってしまいましたが,いかがだったでしょうか
最後にこんなことをいうとアレですが,カメはこんなに濾過に気をつかわなくても死にません
あくまでカメ飼育における換水の頻度を下げるため・魚やエビとの混泳を可能にするためのものです
毎日換水するスタイルの方はそれで問題はありません

でも,もしカメをレイアウト水槽で飼ってみたい!とか,いろんな生き物と混泳させたい!と思っている方は,参考にして頂けると幸いです

次回は濾過方式とその特徴について紹介します

よかったらこちらも見てくださいね

スポンサーリンク

Comment

  1. えなみん より:

    こんばんは(^^♪
    とても丁寧な説明で、わかりやすいです。
    最近は、少し水替えさぼり気味なので、この記事読んでたら我に返った感じがしました(^_^;)

  2. N2 より:

    凄く丁寧で分かり易かったです!
    この図はK8kiさんが作ったんですか?
    あと、ウチの水槽に出るバクテリアコロニーって何なんでしょう?(;・∀・)
    http://n2n281.blog.fc2.com/blog-entry-213.html

  3. K8ki より:

    えなみんさん

    ありがとうございます
    水槽設置してから時間が経つとどうしても手抜きになってきちゃいますよね^^;

    N2さん

    ありがとうございます^^
    図はフリー素材を交えながら私が作りました
    なかなか手間がかかりました...

    >ウチの水槽に出るバクテリアコロニーって何なんでしょう?

    ミスクレの死骸を与えた後に発生したということからやはりバクテリアのバランスが崩れたんじゃないでしょうか?

    憶測になりますが,ミスクレの死骸を投入したせいで従属栄養細菌が増え,酸素不足で今までいた消化細菌が少し死んだ
    またはミスクレの死骸の分解が終わって増えた従属栄養細菌が死んだ
    そういったバクテリアの死骸が水面に油膜のような形で現れた可能性もあると思います

    他サイトですが,こちらのページも参考になるかもしれません
    http://www.aqua-living.net/kokedata_23.html

  4. 投資の入門 より:

    とても魅力的な記事でした。
    また遊びに来ます!!

  5. K8ki より:

    投資の入門さん

    コメントありがとうございます
    ぜひまたいらしてくださいね^^

コメントを残す

Ads by LiveBurst

  • MONTHLY
  • CATEGORY
  • DAILY
  • NEW

著者:K-ki
K8ki・けーきはK-kiのシノニム。
AquaTurtlium(アクアタートリウム)を運営しています。

生き物とガジェットが好きなデジタル式自然派人間。でも専門は航空宇宙工学だったりします。
好きなことはとことん追求するタイプ。

→もっと見る